むし歯について
「歯が痛む」「冷たいもので歯がしみる」などの症状はありませんか?
このような症状がある場合、むし歯になっている可能性があります。
歯に異常を感じていてもそのまま放置してしまう方が多くいらっしゃいますが、むし歯は放っておいて治る病気ではありません。むしろ、放置するほど悪化してしまいます。治療が手遅れになった場合、最悪のケースは歯を失ってしまうこともあります。
早めに治療をすることで最小限の治療で済みますので、気になる症状がある方はお早めに当院までご相談ください。
むし歯を放置すると
むし歯をそのまま放置すると、痛みを感じなくなるケースがあります。しかし、「痛みがなくなったからもう大丈夫」という判断は非常に危険です。
むし歯は少しずつ重症化していき、やがて歯を支える骨にまで影響を及ぼす場合があります。
むし歯は放置するほど治療の期間や費用の負担が増えてしまいます。少しでも治療の負担を軽減するためにも、早めに治療を受けることをおすすめします。
虫歯の感染
感染の窓
感染の窓とは、お子さんが家族内から虫歯菌(ミュータンス菌)に感染しやすい特に危険な時期のことで、乳歯の奥歯が生えてくる1歳半から3歳くらいの間のことを言います。
虫歯菌(ミュータンス菌)に感染している人からのスプーンの共有、ペットボトルなどの飲み回し、咬み与え、キスなどの『唾液の交換』により唾液感染します。
この感染の窓の時期に、口腔内に虫歯菌の感染率が低いと、虫歯になりにくい口腔内環境になります。
しかし、この時期に虫歯菌(ミュータンス菌)の感染率が高い場合は、大人になっても虫歯になりやすい口腔内環境になってしまいます。
大人になってからも、虫歯が治らない・治しても再発してしまうのは、口腔内に虫歯菌に感染して定着してしまっているからです。
虫歯菌を除菌しない限り、虫歯になりやすい環境は一生涯続く病気と言われています。
むし歯の原因と進行
歯に付着した歯垢(プラーク)には無数の細菌が存在します。歯垢に含まれる細菌は飲食物に含まれる糖を分解して酸を排出します。この酸によって歯が溶けてしまいます(脱灰)。人の唾液には、細菌によって作り出された酸を中和して中性に近づけることで歯を守る効果があります。また、唾液にはリン酸やカルシウムが含まれており、これらが脱灰した歯を再石灰化(修復)します。頻繁に糖分を摂取したり、酸の中和や再石灰化が間に合わないと脱灰が進み、その部分は崩壊していきます。これがむし歯の始まりです。
むし歯によって崩壊してしまった歯は、再石灰化などによって自然回復することはありません。こうなると、むし歯によって空いた穴を埋めて修復する歯科治療が必要になります。また、むし歯が進行すると歯の神経にまで細菌が到達します。ここまでくると、歯の神経を取り除く大掛かりな治療が必要になってしまいます。これより更にむし歯が進行した場合には、歯の根元にまで細菌が達して病巣ができ、結果として歯肉から膿が出る場合もあります。このような場合は、大切な歯を抜かなければならないケースもあります。
虫歯の進行状態と治療法について
CO 歯表面のむし歯
症状
歯の表面がほんの少し溶けて白く濁ります。この時点では痛みもなく、自分でむし歯を見つけるのは難しい状態です。
治療方法
正しい歯みがきやフッ素を塗布することで歯の再石灰化を促進させ、治癒を促します。
C1 エナメル質に達したむし歯
症状
表面のエナメル質が溶けて茶色や黒く変色した部分が現れます。この時点でもまだ痛みはありません。
治療方法
むし歯になった部分を削り、レジン(歯科用プラスチック)と呼ばれる白い歯科用素材を詰めます。
C2 象牙質に達したむし歯
症状
エナメル質の内側にある象牙質まで溶けてしまっている状態です。ここまでくると、冷たいものや甘いものがしみる場合があります。
治療方法
むし歯になった部分を削り、むし歯の大きさに応じてレジンを詰めるか、詰め物を装着するかを決めます。
C3 神経に達したむし歯
症状
歯の神経にまでむし歯が進行した状態です。何もしていない時でもズキズキと激しい痛みを感じます。
治療方法
C4 歯根にまで達したむし歯
症状
歯冠部分がほぼ溶けてしまった状態です。神経が死んでしまうことで一時的に痛みを感じなくなりますが、放置しておくと化膿して再び激しい痛みに襲われます。
治療方法
この段階までくると歯を抜くしかありません。抜歯を行った後は、インプラント、入れ歯、ブリッジで歯の機能性を回復させます。
むし歯の予防のために
むし歯の原因菌であり、歯周病の原因でもある歯垢をつくりだすミュータンス菌は、決して特別な菌ではありません。成人の方であれば誰しもがお口の中に存在する菌です。そのため、むし歯や歯周病を予防するためには、ミュータンス菌のエサとなる食べカスや、細菌の温床となる歯垢(プラーク)をしっかりと除去することが大切です。食後には必ず歯みがきをするようにしましょう。この時、歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロス(歯と歯の間を清掃する道具)を使用するとより効果的です。
また、定期的に検診を受けることも重要です。食べカスや歯垢は、しっかりと歯を磨いているつもりでも隙間などに残ってしまうものです。半年~1年に1回は歯科医院で健康状態を診てもらい、歯や歯茎の状態をチェックしてもらいましょう。
この他にも、食生活や喫煙などの生活習慣を見直すことも、むし歯や歯周病の予防につながります。